工芸の現場では、卸先や仲介の言い値に合わせ、値段を決める場面でいつも相手に委ねてしまうことが少なくないと思います。本記事では、担い手が価格決定権を持つために知っておきたい国の制度と、富結(とみゆい)TOMIYUIが用意している具体的な仕組みをあわせて紹介します。結論として、値付けはあらかじめ用意された仕組みによって支えられるものです。
1. いま何が起きているか
2026年1月、下請法を改める形で「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(通称・取適法)が施行され、発注側が受託側との協議に応じないまま一方的に代金を決めることが禁止されました。中小企業庁は毎年9月と3月を「価格交渉促進月間」と定めています。工芸の受託・卸取引の現場でも、価格を決める主導権は長らく発注側・仲介側にありました。値段を提示する側に回れるかどうかは、担い手の日々の収入に直結する問題です。
2. どう考え、どう動くか
価格決定権を取り戻すために、担い手が今できることは次の通りです。
- 卸先・仲介先との取引条件を、契約書や見積書の形で残しておく
- 価格交渉促進月間にあわせて、取引先へ価格協議を申し入れる
- 自らの作品を、卸や仲介を介さず直接販売できる場を確保する
- 一つの販路に依存せず、複数の販売チャネルを持つ
これらは一人で抱え込むと負担が大きい取り組みです。仕組みとして用意されている支援を、あわせて活用することが現実的です。
3. 富結 TOMIYUIの立場
富結 TOMIYUIは、担い手が自ら価格を決められる場をひとつの選択肢として用意しています。作品が売れたそのときに、売上の七割をお戻しします。前もっていただく費用はなく、売れないかぎり一円もいただきません。残りは運営の実務にあて、共栄基金として販売の支え・後継者の育成・担い手様の協業などに使い道を限定しています。
4. よくある質問(FAQ)
Q1. 価格決定権とは、具体的に何を指しますか。
A1. 自分の作品や製品の価格を、発注側や仲介側にすべて委ねず、自分自身で決められる状態を指します。
Q2. 価格交渉促進月間とは何ですか。
A2. 中小企業庁が毎年9月と3月に定める、取引先との価格協議を後押しするための期間です。
Q3. 富結 TOMIYUIに加盟すると、価格はどう決まりますか。
A3. 作品が売れたときに売上の七割を担い手へお戻しする仕組みで、価格提示のあり方も含めて相談しながら進めます。
